読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

シキサワノブログ

読書、ニュース、漫画、プロ野球、Jリーグ、映画、日常のことについて書いていきます。

絶海にあらず(上)

 歴史、瀬戸内海、海戦ものとくれば、「村上海賊の娘」が人気になってますが、最近北方謙三「絶海にあらず」を読み返したので紹介します。

 

新天地で己の生きる道を見つけた男の物語

 時は平安。物語の主人公は藤原純友。時の権力者、藤原一族に連なる身でありながら京で退屈な日々を送る純友。赴任した伊予で純友が見たものは、藤原氏の政治に振り回され、疲弊する水師たちの姿でした。京や伊予での友との出会い、さらに伊予の有力者である越智郡司との出会いを経て、伊予の現状を知るにつれ、純友は自分のなすべきことを見つけていきます。

 

 物語冒頭は純友は、京都の勧学院別曹にいます。これは私は現在で言う大学のようなところかなとイメージしました。勧学院にいながら近江や関東に旅し、やがて伊予に赴任する純友の姿は、大学時代に旅行などを楽しみながら、社会人となり実際の社会の姿に触れる現代の大学生とダブるものがあります。実際の社会に触れたとき、自分がなすべきことをなせるか。現代では本当に難しいことだと思います。純友は自分の属する組織=朝廷の方針に異を唱えるため、味方を増やし力を蓄えていきます。

 

 小説で歴史ものと言えば戦国・幕末が人気ですが、平安時代を舞台とした珍しい作品です。当時の時代背景もよく描かれ、中国製品である「唐物」が物語の鍵を握ります。海戦などの船が動く場面の描写はリアリティがあります。

 

藤原純友 - Wikipedia